甘い恋じゃなかった。
♡夢と希望のサンタクロース
「ねぇ明里、これ良くない?」
「え?」
振り向くと、莉央が黒いセクシーなブラとパンツを掲げていた。
クルリとそれを裏返す莉央。なんと、パンツにハート形の穴があいている…!
「ちょっ、西山営業部長ってそういうのが好みなの!?」
硬派そうなイメージだったのに…!
ショックを受ける私に莉央が軽くため息をつく。
「違うから。私じゃなくて、明里に似合いそうだなと思って」
「はっ…!?私!?」
「桐原さんもこういうの好きそうじゃない?」
「いやどんなイメージなの!?別に好きそうじゃないよ!?」
「えー。じゃぁどうするの?クリスマスデート用の下着」
渋々その下着を棚に戻しながら莉央が聞く。
「そ、それは…!いや、そもそもクリスマスデートとかしないし。桐原さんクリスマス仕事だもん」
「あー、そっかぁ。でもクリスマスが終わったらするでしょ?デート」
デート!!
蘇る遊園地デート。すごく楽しかった。そんなに前のことではないのに、すごく前のことに感じるから不思議だ。
黙ったままでいると、無言を肯定と受け取ったらしい莉央が勝手に下着を選び始めた。
「よし、じゃぁとりあえずコレとコレを試着して…」
その時、莉央の愛用しているGUCCIのカバンの中から、スマホが着信を知らせた。