甘い恋じゃなかった。




焼鳥。ビール。おいしいおつまみ。そして気の置けない同期たち。



大好きなネギ間と一緒に、私は至福の時間を噛み締めていた。


最近色々あって、モヤモヤすることが多かったから、なんだか久しぶりにリフレッシュ出来ているような気がする。



「で、どうなってんの明里は最近。桐原さんとは?」



と思っていたら早くも二杯目のビールに突入している莉央がズバリ切り込んできた。


最近、ねぇ…。



「ちょっと?微妙に?喧嘩中?」


「何その曖昧な感じ。喧嘩したの?」


「いや、喧嘩っていうか、私が一方的に不機嫌っていうか」




私は、お姉ちゃんと桐原さんが一緒に働いているのを目の当たりにして、やっぱり平常心ではいられないこと。

桐原さんがお客のキラキラ女子軍団に彼女がいないと言っていたことを話した。



「マジかよ!」



牛奥がドン、と乱暴にビールジョッキを机に置く。



「アイツ、小鳥遊の前で元カノとイチャついてんのかよ」


「いや別にイチャついてるけじゃないけど」


「しかも彼女いないって…俺なら彼女が出来たら言いふらすけどな!全世界に!」


「牛奥ちょっと黙っててくれる?」



莉央が冷静に牛奥の頭を軽く叩いた。




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