甘い恋じゃなかった。





「はぁ〜…」



電車の車窓に映る私の顔は、莉央が言うように疲れが滲み出ていた。


目の下のクマが酷い。今日はドラマは見ずに早く寝よう。




電車に乗り込んで、3つ目の駅が私の最寄駅である。所要時間にして20分程。



大抵、駅前のスーパーで買い物を済ませてから帰るのが日課だ。


今日もスーパーをウロつきながら、今夜のメニューについて考える。



昨日生まれて初めてビーフストロガノフなんて洒落た料理を作ったものだから、とにかく手の込んだものは避けたい。なるべく簡単なものがいい。



そんなことを考えながら野菜コーナーを物色していると、ふと、あぁ甘いものが食べたいな。と思った。



でも、ボヌールは今日定休日だし…。




何の気なしに手に取ったのは緑が鮮やかなキャベツ。





それを見て、閃いた。




そうだ。アレ、やっちゃおう。





キャベツを置いて歩き出す。
目的地はもう決まっていた。




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