甘い恋じゃなかった。
♡週末生ビール






「カンパ~イッ!」




カチャン、とビールジョッキがぶつかる心地よい音。ガヤガヤとした騒々しさが、むしろ落ち着く。


綺麗でオシャレなパティスリーも好きだけど、賑やかな大衆居酒屋も大好きだ。




今日は金曜日。仕事終わり、私は莉央と、同じく同期の牛奥大河(ウシオクタイガ)と三人で行きつけの居酒屋に来ていた。




「あ~っ、やっと今週も終わった~!」



プハァ、とビールを勢いよくあおった牛奥が言う。牛奥は法人関係の営業担当をしている。配属は同じ本社なので、よくこうやって莉央と三人でつるんでいる。



「あ~、ビールおいしい!おかわり!」



「え!?早!?」



乾杯して早々、脅威の速さでビールを飲みほした莉央が早くも追加を要求した。


莉央はその華憐な容姿に似合わず、酒豪で大食いだ。だけどさすがに今日のペースは速すぎる。



「また何かあったのかよ、彼氏と?」


ったく、いつもいつも懲りね~な~と笑う牛奥をギロリと睨んで、「…してやがったのよ」と莉央は低い声を出した。



「え?してたって何を?」


恐る恐る聞くと


「浮気!!!」


莉央が吠える。



「え~?浮気?何かの間違いじゃなくて?彼氏、莉央のこと大好きそうじゃん」



まだ直接会ったことはないけど、話を聞いている限りはそんな感じがする。しょっちゅう仕事終わりの莉央を迎えに来てるみたいだし。




「でも見つけたんだもん。証拠のブツをね!!!」




ターンッ!と莉央が勢いよくテーブルに叩きつけたそれ。…レシート?





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