甘い恋じゃなかった。
「だたいま~…」
帰宅したのは深夜の0時をまわった頃。
あーお風呂面倒だな…なんて思いながらヒールを脱ぎ捨て家にあがると
「帰ったか」
目の前に桐原さんが立っていた。上半身裸で!!
「!?」
固まる私に気付かず、桐原さんが「なんか酒くさ」とズイッと私に顔を近づけてきた。ほろよくまわっていた酔いが一気に醒める。
「きっ、今日は、どっ同期と飲んでくるって…言ったじゃないですか!」
「あー、そうだっけ?」
「て、いうか、何で服着てないんですか!?」
「は?着てるじゃん」
「下じゃなくて!うっ…上の話です!」
「はぁ?だって風呂上りだし」
そう言われてみると、確かに髪の毛が濡れている。でも、だからって…
「服は着てください!!」
「別にいいだろ、面倒くせーな…」
何を思ったのか、床に向けて話す私の顎を、桐原さんが突然グイッと持ち上げた。
強制的に上を向かされた私と桐原さんの視線がぶつかる。
「ふーん」
桐原さんがニヤリと口角をあげた。
「お前処女だろ」
「!?!?」