甘い恋じゃなかった。
「ふーん」
牛奥はなんだか微妙な表情で、コーヒーを飲んでいる。
そういえば、この同居人という関係。
いつまで続くんだろう―――
「……うっわ~!すごい!おいしそう!」
暫くして、桐原さん作、出来立てホヤホヤのロールケーキが運ばれてきた。
カステラのような黄色いスポンジに、“の”の字の白い生クリーム。巻き込まれた鮮やかな苺の赤とのコントラストが美しい。
いちごブッフェで食べたものと比べると、だいぶシンプルな見た目だ。だけど。
「なんかこのスポンジ、キラキラしてる…?」
「少しだけ金箔を練り込んである」
なるほど…!
胸が高鳴る。はやく。はやく食べたい。
鼻息荒く切り分けられるのを待つ私に、ブ、とナイフを持った桐原さんが吹き出した。
「なんか犬みてぇ」
「は!?」