甘い恋じゃなかった。
「…て、いうか。なんで私の家知ってたんですか…?」
この重苦しい沈黙に耐えきれなくなって恐る恐るそう聞くと、ギロ、と凄まじい眼光で睨まれた。ひぃっ何でいちいち睨むのこの人ー!?
「あ、やっぱいいです」
あまりの恐ろしさに質問を取り下げると、今度はチッと舌打ちされた。だからいちいち怖いんだってこの人ー!
1.5メートル離れた距離で身を縮こませると
「…SNS」
ボソリと、聞き取れるか聞き取れないかくらいの声量で彼が呟いた。
「栞里のSNSの友達にお前を見つけて、そこから飛んだ。お前の記事を読んでいくうちに最寄駅が分かったから、この三日間、一日中張ってた」
…最近は全く更新していなかったSNS。削除しておくべきだったと、私は激しく後悔した。
…でも、なんで今になって、そこまでして私に会いに来たんだろう…。
…思いつく理由はひとつ。