甘い恋じゃなかった。






「…急に何言ってんの牛奥」


「いや…だってなんか仲良さそうだったし」




どこが!?常に睨まれてるか喧嘩してるかのどっちかだったのに!?




「小鳥遊、すげーキラキラした目で桐原さんのこと見てるし」



それは桐原さんじゃなくて、桐原さんの作るロールケーキを見てたの!





「…やっぱ当たりか」



ツッコミどころが多すぎて黙ったままの私を見て、牛奥が何を勘違いしたのか、物憂げなため息をついた。



「いや…あのね?なんかどこから突っ込んでいいか分からないけど、違うから!好きじゃないから!」



「…本当かよ」




何!?その疑わしそうな目は!?




「本当だよ!」



「じゃぁ小鳥遊、どんな男がタイプなんだよ?」




ど、どんなって。



ここでまさかこんな質問が飛んでくると思わなくて、思わず口を噤む。




どんなって…。




「そ、そうだなぁ。まず常に穏やかで人に威圧感を与えない人かな。
そんでもって人の料理にいちいち文句つけなくて、人の好きなドラマにもケチつけたりしなくて…」



「…なんか具体的だな」




あ、そうか。



私はそこで一つの事実に気付いた。




私って、桐原さんと正反対の人が好きなんだ。




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