甘い恋じゃなかった。




ケーキ作りが嫌いな人が、あんなに真剣な顔でケーキ作るわけないじゃん。


ていうか、薄々思ってたことだけど、なんで居候の分際に毎回毎回料理のダメ出しされないといけないわけ?




こっちだってね、ちょっとは言われたこと加味して料理作ってるんですけど。


それなのに毎回毎回細かいことをグチグチと…




ただ飯食ってんじゃね~っ!!




ガラッ



イライラした気分のままお風呂に入り、ムカムカした気分のままリビングのドアを開けると、桐原さんが洗濯物を畳んでいた。(自分の分は自分で畳むことになっている)



冷蔵庫をあけ、取り出したミネラルウォーターを一気飲みをしていると



「おい」



後ろから桐原さんの声。



「何ですか」


「お前いつまでこのパンツ履いてる気だよ」


「…!?」



振り向くと、私のパンツ(ポムポムプリン)を指でつまみブラブラさせている、桐原さん。



「なっななな!何っ…」



私はダッシュで飛んでいくと、桐原さんの手からパンツを奪い取った。



「なっ何してるんですか!?私の洗濯物は畳まなくていいって…!」


「俺のところに入ってたんだよ。誰が見たくて見るか、そんなもん」




そんなもん!?



「つーかいつまでもそんなパンツ履いてると、彼氏に呆れられんぞ?」



そしてハ、とバカにしたような笑みを残して、自分の洗濯物を持ち自室へ戻っていこうとする。



「か、彼氏なんていませんし放っといてください」



反論すると、桐原さんが不思議そうな表情で振り向いた。



「いるだろ。こないだミルフィーユに来てた奴」


「…は?もしかして牛奥のこと?あれはただの同僚ですけど」


「…ふーん…」




なんだか意味深に私をじ、と見る桐原さん。



「な、何…」


「ま、別にどうでもいいけど」





そしてバタンッと勢いよくドアが閉まって、あっという間に桐原さんの姿は見えなくなった。




どうでもいいって…



聞いてきたのソッチでしょうが!!





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