甘い恋じゃなかった。





その日は日曜日で。私は一人で買い物をしていた。



最近全く服を買っていなかったので、いつも行く馴染みのブランドのお店で何点か購入。



ついでに化粧品売り場も冷やかして、お腹すいたから何か食べようかとブラブラしているときだった。




「彼女めっちゃ可愛いね?」



「一人?なんか奢るからさ、飯つきあってよ」



制服姿の女子高生が、大学生くらいだろうか?軽そうな男二人に絡まれていた。



ていうか、何あの子。物凄く美人。



女だけど、思わずその子に見とれてしまう。




スラッと高い身長に、長くて白い手足。顔は恐ろしく小顔で、肩につかないくらいのベリーショートカットがよく似合っていた。



「ねー聞いてる?」



男の一人が女子高生の腕をつかむ。




そこでハッとする私。



見とれている場合じゃなかった!


明らかにあの二人、ご飯だけであの子を帰してあげそうにないし、周りの人は見て見ぬフリだし…




助けないと!




「やめっ…」



私が割って入ろうとしたときだった。




ドカァッ!!




目の前で女子高生の鋭い回し蹴りが、男に炸裂する。その衝撃でもう一人の男に回し蹴りされた男が頭突きをかますことになり、二人して勢いよく地面に倒れ込んだ。




「…は?」




私は何が起きたか分からず、思わずその場で茫然とする。




女子高生はチ、と舌打ちをすると




「クズが」




倒れた男たちにそう吐き捨てて、颯爽と歩いていった。




その子が歩くところに、ザッと人が割れ道が出来る。




か…



「かっこいい~…」





でもあの子の顔、なんか誰かに似てるような気がするんだよな…気のせいかな。





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