Dear My Friends
始業チャイム5分前の、予鈴が鳴る。机を元の位置に戻して席についた。

「何ね? お前好いちょーヤツおるん?」

元太は体をこっちに向けた。

「んーん。…いない」

「ふ~ん」

元太はつまんなさそうに言った。

何でこう、元太の返事はつまんなさそうなんだろう。
まあ、好きな子いなかったら、からかえないしね。確かにつまんないかも。

数学の先生が教室に入ってきて、簡単に挨拶を済ました。

元太は教科書を机に出すと、すぐに机に伏せようとした。
いつものパターン。

「ねぇ、ゲンタ」

だけど、あたしが話しかけると元太はもう一度体を起こした。

「…何かね?」

「え、えっと…その…」

聞きたいことがある。
だけど、なぜか切り出せなくて、口ごもってしまった。

首を傾げて待つ元太から、視線をはずした。

「…いいや。なんでもない」

結局、聞けない。

不思議そうな顔をして、元太は前を向きなおした。
その10秒後ぐらいには、いつも通り机に潰れていた。

そんな元太を、チラリと盗み見る。



ねぇ、元太は?
『好きな人』いるの?
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