Dear My Friends
相変わらず返事の返ってこない元太に、視線を戻した。

それからしばらく間を置いてから、元太は口を開いた。

「…お前は女であって女じゃねーけん」

「え…?」

女であって、女じゃない?
なにそれ。わけわかんない。

「どーゆー意味?」

「友だちには男も女もないじゃろ。お前が女になるなら、友だちじゃねーちゅーこった」

「女になると言われても、産まれた時から女なんですけど…」

元太が間違ったことは言っていないのは、分かる。
ただ、うまく解釈ができない。

「そういう『女』じゃなくて、俺が、お前と『男と女』の関係になるかっちゅーことだわな」

「男と…女?」

「そう。『恋愛対象』になるか。だけん、『男と女』はありえね。友情に性別なんて関係ないけん」

『男』と『女』ならば『恋愛』。
それは愛情であって、友情じゃない。

「男と女に、友情はないの?」

「そう!」

そう思うと、どうしてももう一度確かめたくなる。

「じゃあ、…あたしとゲンタは、友だちだ」

それ以上も以下も望まない。
あたしは元太と友だち。

元太も、そうであってほしい。
< 17 / 91 >

この作品をシェア

pagetop