Dear My Friends
「ちょ、ちょっと!」

あたしは元太のシャツを引っ張って、周りに聞こえないように呟いた。

「サオもなんだけど」

「え…?」

「だから、サ・オ・も! 好きなんだってば」

「え、ホントに?」

「そっちこそ」

情けないくらい、ポカンとマヌケ面の元太がいた。

きっと、あたしもだと思うけど。

だって、元太の内緒話の内容が、『ダブルデート、協力したって欲しいんだわ』だったんだから。

急に我に返ったように、元太が立ち上がった。

「こーしちゃおれん。ショウ呼ぶけん。ショー!」

元太は教室の隅で溜まっている翔くんに呼びかけると、その声に気付いてやって来た。

「なん?」

「ショウくん、サオのこと好きなの?」

「えっ!?」

ストレートに聞くと、明らかに翔くんは動揺して、元太を軽く睨んだ。

「ごっめん、ショウ。バレたけん」

なぜか自慢げに、元太はピースサインを作る。

「ゲンタァ~!」

翔くんははあ~っ、と大きくため息をついた。

「あ~ナイショだけんね?」

翔くんは、恥ずかしそうにあたしを見ながらはにかんだ。
あたしは2回頷くと、楽しくってウズウズする。
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