Dear My Friends
放課後になって、あたしは自分の椅子に、後ろ向きに座った。

帰る準備をしていたサオが、手を止めた。

「話って何かね?」

「今度、祭りあるじゃん? その日、空いてる?」

「空いちょーけど…」

サオは顔を気持ち赤らめて、俯く。

「けど?」

あたしが尋ねると、さっきより顔を赤らめて、上目にあたしを見つめた。

「…ショウくん、誘うつもりだけん! だけん、サキとは行けん! せっかく誘ってくれたの…に?」

サオはやけに早口に言ったけど、言い終わるより早く、あたしは勢いよく立ち上がった。

「一緒に行こう! サオっ」

「だけん…人の話を」

「ショウくんも一緒っ!」

「はっ?」

サオはマヌケな声を出した。

「ゲンタに誘われたの、今日。一緒に行こうって」

「サキが?」

「ううん。4人で!」

サオは私を見上げたまま、目をぱちくりさせていた。

「行こうよサオ。4人で行こう」

あたしはサオの腕をつかみ、上下に大きく振った。
あんぐりと口を開けたまま、サオは固まっている。

「サオ…?」

反応のなくなったサオの顔の前で、手を振ってみた。
それでもサオは瞼をぱたつかせるだけで、動く様子はない。
< 26 / 91 >

この作品をシェア

pagetop