Dear My Friends
「サオちゃ~ん…」

体を曲げてサオに近づいたら、サオは急にガタッと立ち上がった。
「わっ」と思わず声が漏れる。

「な、ななななな、なしてそぎゃんことなっちょーか!?」

サオはすごい剣幕で詰め寄ってくる。
あたしは思わずたじろいだ。

「え、ちょっと…サオ」

「サキぃ…」

かと思ったら、サオはふっと表情を和らげた。

「ありがとー!」

満面の笑みで、ガシッと抱きつくサオ。

何が何だかよくわからなくて、一瞬戸惑ったけど、すぐにギュッとサオに抱きつき返した。

「でも、なしてそぎゃんことなっちょーかわからんがな」

あたしから離れると、サオは真面目な顔をして首を傾げた。

「だから、ゲンタに誘われたんだってば」

あたしの声は弾む。さっきから顔の筋肉は緩みっぱなしだ。

「へぇ…。ゲンタに…ねぇ」

ニヤッとサオが笑った。

「そっか、そっか」とサオはひとりで頷きながら、ニヤニヤ微笑んでいた。

そのままサオは、鞄を肩に掛けて廊下に向かって歩き出した。

「何ニヤニヤしてんの?」

あたしも自分の鞄を掴んでサオの後についていく。

クルッと振り向いたサオは、相変わらずにやついた顔付きだった。
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