Dear My Friends
「あっつ」

少し落ち着いたら、急に暑さを感じた。

横を見ると、元太もカッターシャツの首もとを掴んで、パタパタとしている。
あたしは鞄からタオルを取り出して、汗を拭った。

「ねぇ、ゲンタ」

「ん?」

「ゴメンね。なんか」

「何に?」

元太は首を傾げた。

「だってゲンタ1人だったら、絶対間に合ったじゃん」

元太は運動部に入っていたから、足だってそこそこ速い。
それに、女のあたしより速いのは当たり前。

なんだか、つき合わせちゃったみたいで。

「そぎゃんことないが。もしそーでも、俺だけ間に合ったら、お前に悪いけん。な!」

得意気に元太はニッと笑う。

「…ありがと」

「おう。感謝しちょけや」
< 30 / 91 >

この作品をシェア

pagetop