Dear My Friends
まだ、日の長い夕暮れ。賑わう通り。吊された提灯の灯り。屋台からの匂い。
流れる人の笑い声も、駄々をこねる子どもの声も。

溢れ返ってる祭りの雰囲気は、どこも一緒だ。

あの夏祭りも、今年はもう終わってしまったんだろうか。



そんなことを考えていたからかな。
君の声と共に、君の香りが、した気がしたんだ。

年頃になった君の香り。
彼女からの、プレゼント。



「聞いちょーか?」

「え?」

「どげした? 具合でも悪いんかね?」

元太が心配そうにこっちを見ていた。

「ううん。大丈夫」

あたしは頭を振ると、元太は「そっか」とそれだけ言って、軽く笑った。

「で、聞いちょった? 今の話?」

「え?」

「だけん、あの2人をふたりっきりにしようって話」

そう元太が指差す方を見ると、屋台の前で何かを買っているサオと翔くんがいた。

「ベビーカステラ…」

サオたちがいる屋台の隣に、そう書かれた暖簾が掛かっている。

「食いたいん?」

「え?」

「待っちょって」

スタスタと元太は屋台の方へ歩いていってしまった。
あたしはただそれを、ここから見てた。
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