Dear My Friends
お姉さんはトウモロコシを気にしながら微笑むと、そっと目を伏せた。

「郷に入っては郷に従えって言うじゃろ? お姉ちゃんがきれいな日本語で話しちょった時は、ちょっと寂しかったけんなあ」

言い終わると、顔を上げて気まずそうに笑った。

「だけん、君が方言使いこなすよーになったら、関東の友だちは悲しむかもしれんの。全然違う人になってまった気がして、寂しいけん」

「…お姉さん。やっぱりトウモロコシ1個下さい」

「お! 焼き立て、美味しいがや。400円のとこ、話聞いてくれたけん、300円にサービス」

お姉さんはニッコリ笑うと、トウモロコシを紙に包んで手渡してくれた。

「ありがとう」

「どーいたしまして」

お姉さんからトウモロコシを受け取った時、ふわっとまたあの香りがして、あたしは顔を上げた。

「焼きトウモロコシ、買ったん?」

「あ…うん。はい」

「え? なして?」

元太はあたしの渡したトウモロコシを受け取ると、不思議そうな顔をしていた。

「好きでしょ? 焼きトウモロコシ」

「…ほーだけん、なして知っちょーか?」

「え? だって、昔から…」

あ、違う。
それは、元太じゃない。
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