Dear My Friends
あたしは元太から視線を反らして、そのまま前に足を進めた。

「えっ、ちょっと…。どげした?」

「…別に、どうもしないよ」

「ふーん? はいこれ。ベビーカステラ」

ベビーカステラの入った袋は、あたしの手の中にスッポリと収められた。

「あ、あぁ…ありがとう?」

なぜかその流れがおかしくて、つい笑ってしまう。

「何?」

「ううん。何もない」

あたしの笑いは止まらない。また元太は首を傾げていた。

「あ、おったー。サキ~、ゲンタ~」

サオが手を振りながら駆け寄ってくる。
元太は「よう」と翔くんに、ニヤリと笑った。

急にサオにグイッと手を引っ張られたあたしは、バランスを崩して転びそうになった。

「わっ」

「ゴメン、サキ」

「ん。…いーよ。どした?」

「どげしよ? 心臓持たせん」

サオは顔を真っ赤にさせて、興奮気味に話し出した。

そんなサオがかわいくて、また笑ってしまう。

恋をすれば女の子はかわいくなると言うけど、ホントだ。
仕草も、態度も。

「何コソコソ話しちょーか?」

元太があたしたちを覗き込むように入ってきて、「ちょっと」とあたしに手招きした。
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