Dear My Friends
「ち、違うがな!」

そんなあたしに、元太も慌てたように否定し出した。

「え、違う? 何が?」

「だけん、あいつらがこのままじゃ手繋ぎよるとは思えんけん、俺らも繋ぐしかねーじゃろ」

チラッと2人の様子を伺うと、どことなくぎこちない空気が流れていた。

「たしかに…。でも~手汗が…」

あたしはゴシゴシと、とっさに浴衣で手を擦った。

「そんなもん、夏だけん誰でもかくがね」

クックッと声を押し殺しながら、笑われた。

「気にするの。女の子は!」

「そぎゃん、手汗酷いんかお前…ふっ」

そしてついには堪えきれなくなったようにハハハッと笑い出した。

「ち、違う!」

体の体温が一気に上がった。

恥ずかしくて俯くあたしに、元太は何事もないように手を差し出した。
たじろいでいると、「ほら」と急かしてきた。

元太には…恥ずかしいという気持ちは、ないんだろうか。
もぅ。女心が分かってないなぁ。

渋りながらもあたしは、元太の手をそっと握った。

顔が熱い。
自分じゃ、どうしようもないくらいに。
< 38 / 91 >

この作品をシェア

pagetop