Dear My Friends
視線を上げると、顔を真っ赤に染めた元太がいた。

「ちょっと…赤くならないでよ!」

「やっぱ…恥ずかしいがな!」

元太は声を荒げて、そっぽを向いた。

それを見たらなんだか笑いがこみ上げてきて、ケラケラ声を上げて笑った。

「も、もう行くぞ」

グイッとあたしの手を引っ張ると、元太は翔くんの方へ歩き出す。

「ショウ、時田。混んできたけん、そろそろ行こーや」

元太は翔くんにそっと近づいて、「がんばれよ」と、サオに聞こえないように言った。
あたしはニコッと大げさに、翔くんに笑顔を向けると、翔くんは顔を赤くした。

元太とあたしはゆっくりと少しずつ歩く。

「ふふふっ」

「きしょい笑い方すんなよ」

「だって、楽しいじゃん」

「そりゃよかった」

「あっ!」

あたしは足を止めた。

サオたちのことと、元太と手を繋ぐことに気を取られて忘れていたけど。

「ベビーカステラ…食べれない」

あたしは自分の右手に持っているベビーカステラの袋を持ち上げた。
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