Dear My Friends
「今日は18日だけん、森本く~ん。次読んでまえんか~」

ほら、思った通り。やっぱり元太だ。

ボケっとしていた元太は、急に我に返ったようにおたおたと教科書のページをめくる。

「42ページの7行目だが」

そんな元太を見かねてか、先生はため息をついた。

元太は、落ち着きのないままそのページをを見つけると、どもりながらも読み始めた。

「はい」

区切りのいいところで先生がそう言うと、ホッとしたような顔をして、そのまま机にうなだれた。

あたしは元太の耳に届くように、体を前に傾けて右を向いた。

「ありがとうは?」

「…何に?」

「あたしに『起こしてくれて、ありがとう』」

ふふん、とひとつ得意に笑みを浮かべてみた。
元太はグッとこらえるように、間を開ける。

「…起こしてくれてありがとう」

棒読みにそう言うと、めんどくさそうに机に伏せた。

でも、あたしは見逃さなかった。元太の耳が赤くなったことを。

この、照れ屋が。

そう思うと顔がにやけてしまったのに気づいて、慌ててその顔を元に戻す。

辺りを見渡して、誰も見ていなかったことをそっと確認して、何事もなかったかのようにそのまま教科書に目をやった。
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