Dear My Friends
なぜか急に話したくて、たまらなくなった。

「あたし、幼なじみがいるの」

だから、あたしは唐突に切り出した。
そんなあたしに、元太も曖昧に返事を返す。

それは、いつかの話。

まるで自分に言い訳するように、だけど元太に聞いてほしくて。



「前のとこに14年住んでてさ」

あたしは階段に腰掛けて、隣をポンポンと大げさに叩いた。

「ゲンタも座りなよ。そんで、あたしの話聞いて?」

「おー」と生返事をして元太も腰掛けた。

一息ついてから前を向きなおす。

「それでね。その幼なじみ、男なんだけど。そいつがさ…」

ずっと前だけを向いて話すことにした。
そうすれば、元太の顔が見えなくて済むから。

きっと、躊躇わずに、全部言えるから。



「そいつが、ゲンタと、似てるの」

ドクンと、心臓が大きく1回だけ鳴った。

「あたしね、好きな人がいたの。すごくすごく、好きだった人。でも、すぐ別れちゃったけど」



別れた理由は、彼氏に好きな子ができたから。
あたしが、2番目の女になったから。

『ごめん…好きな子できたから、別れて?』
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