Dear My Friends
「死んじゃったんだ…。トラックに跳ねられて」



あたしの家から歩いて10分もない君の家に、君は二度と帰らなかった。



「いなくなっちゃったの…。咲の、ヒーロー」

目頭が熱くなって、声が震えるの。

でも、グッと堪えた。
君のこと思い出すときは、いつだってそう。

「来なきゃ死ななくて済んだのに、彼女のとこ行ってたら死ななかったかもしれないのに」



あの日かかってきた君からの最後の着信は、あたしに、君の最期を告げた。



「信じられなくて。涙も出なかった」



でも、妙にわかった。
君がいないことだけは。



2日後に開かれた君の葬儀。

たくさんの参列者。

その中にいた、君の彼女。
目を真っ赤に腫らして、静かにずっと君を見つめてた。



「お葬式でね、彼女を見たら、罪悪感に押しつぶされそうになって、謝りに行ったの。そしたら彼女、咲は悪くないって、こう言ったの」



『あの…ごめんなさい』

『ううん。…あたしね、知ってたから。あなたにはヤキモチ妬くのもやめたの』
< 56 / 91 >

この作品をシェア

pagetop