Dear My Friends
元太はすぐに耳が赤くなる。目立つ発言とかする割に、すぐ赤くなる。
『ありがとう』も、恥ずかしかったらしい。

「ねぇ、サキ」

後ろの席のサオが、ツンツンとあたしをつついた。

「何?」

体だけ残して後ろを向いた。

「あのさぁ、サキは…好きな人おらんかや?」

こそっと小さい声でサオは言う。
それに釣られてあたしも小さい声で返した。

「…好きな人? いないよ」

「なんかー。おらんかー」

少しガッカリしたように、サオは小さくため息をついた。
あたしは椅子を少し斜めに引いて、体をサオの方に向けた。

こんなこと聞くなんて、サオには好きな子いるんだ。

確信はあった。でも、あえて聞いた。

「何? サオはいるんだ?」

サオは私を3秒くらい見つめた後、コクンと頷いた。

恥ずかしそうに頬を赤く染めながら、ニタッとサオは笑う。

「え? 誰、誰~?」

サオはシャーペンを手に取ると、小さな字を机に書く。

『げんた』

あたしはサオの机から目線を上げた。
そこには口角を持ち上げて、へへっと笑うサオがいた。
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