Dear My Friends
season.5
ここは、冬になれば雪が降る。
それも、半端ない量の雪。あたり一面が、真っ白になるくらいの。

「ねぇ、サキちゃん。ゲンタ見んかった? ゲンタ」

トイレの用を済まして教室に入ると、翔くんに引き止められた。
翔くんは心なしか、急いでいるように見える。

「ゲンタ? …知らない。…教室にいないの?」

教室を見渡してみるけど、元太らしき人は見当たらない。

「なんかー。サキちゃんも知らせんか~」

「うん…ゴメン。急用なの?」

「いや、そげだねんだけど」

そう言うと、翔くんは「じゃ」と軽く手を上げて、そそくさと廊下に出て行った。
けど、その後ろ姿はどことなく足取りは軽くて、楽しそうに見える。

教室のドアを閉めて自分の席に戻ると、あたしの席の後ろに、やたらにニコニコとしたサオが座っていた。

「機嫌いいね? サオ」

「サァ~キィ~っ」

サオはあたしの存在に気づくと、さっきよりも顔をほころばして、スクッと立ち上がった。

「…なに?」

「クリスマスやろうよ! クリスマス!」

サオはずいっとあたしに詰め寄って、肩を大きく揺さぶった。

「く、クリスマ…ス?」

「そう!」
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