Dear My Friends
「…ゲンタ」

あたしはポツリと呟く。
乗り気じゃない心が、さらに複雑化する。



元太がいる…。行きたいけど…。
楽しそうだし。でも…。

あたしは葛藤の中に押し込まれた。

「ゲンタ…来るの?」

「来るんだない? 今、ショウが聞きに行っちょーはずじゃよ」

サオは当たり前のように答えた。

確かに元太の性格上、こういった行事にはいつだって大抵来る。

「でも…。最近ゲンタ、なんかつれないじゃん?」



そう、あたしを悩ます原因はコレ。
最近元太は、素っ気ないというか、味気ないというか、とにかく機嫌が悪かった。

休み時間になっても机に突っ伏したままだったり、今みたいに、気がついたら教室にいなかったり。

「ほーいえばショウも、そぎゃんこと言っちょったなあ…」

サオは何かを思い出したように、自分だけで頷いている。

すると、教室の前側のドアが開き、入ってきたのはどことなくいつもと雰囲気の違う元太。

「あ、ゲンタ~!」

「…なに?」

「ちょっとこっち来てや」

そんなことお構いなしに、サオはサラッと元太を手招きする。
サオに急かされるまま、元太はあたしたちがいるところまで来た。
< 64 / 91 >

この作品をシェア

pagetop