Dear My Friends
…いいよね? ほっといて。
寝てるんだもんね。



ごろんと元太が寝返りをうつ。
それと同時に、あたしの心臓が跳ね上がった。



…なにさ。
人の気も知らないで、気持ちよさそうに寝ちゃってさ。



ふぅーと長い、ため息をついた。

何の悪びれもなく、可愛い寝顔で眠る元太。

ひとり高鳴る胸を、どうすることもできなくて。
あたしは静かに、ベッドの前に座った。

トクンとまた、心臓が鳴る。

元太の髪が、睫が、すべてがこんなにも近い。
久しぶりに、ちゃんと元太を見た気がした。

最近元太と話してない。
なぜか元太の態度が、よそよそしいから。
いないか、机に突っ伏したまんま。
それか、やけにあっさりした会話。



ねえ、何かした?
不安になるよ。



ただ刻々と時を刻む針と、元太の寝息だけが、静かに部屋に響いていた。

「起きろよ、バカ。寂しいじゃん」

小さく呟いた。

近所の家から、子供の笑い声が聞こえる。向いの家のイルミネーションが、チカチカと点滅している。
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