Dear My Friends
元太の見せる表情がどことなく寂しそうで、胸が切なくなる。



「だけん余計に言いづらかったんだわな。感づけ鈍感」

ニカッと元太が笑う。

「なんかやー! 大嫌いだゲンタなんかー!」

翔くんはそう言いながら、元太に抱きついた。

「あはは~。バッカだーショウ」

それを見て、サオはケタケタ笑っている。



元太がいなくなることをみんなが知ったのは、1週間前のこと。

『なぁ、俺みんなに話あんだわ』

人気のなくなった教室。
放課後そこで話すのが、あたしたちの日課になっていた。



『話? なに、いいこと?』

楽しそうにそう聞くサオに、元太は苦笑いを浮かべた。
その時あたしは、何となく感づいた。
あの話だって。

『いや…。そぎゃんだねー』



元太はあの日、クリスマスの日にあたしに話したことを覚えていないらしい。
あたしも、みんなと変わらず知らないはずで、元太もそのつもりで話してきた。

だからあたしも、何も知らない初めて聞いた振りをした。
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