Dear My Friends
コソッとサオが近づいて、顔の前に人差し指を立てる。

「秘密やけんね?」

それとほぼ同時にチャイムが鳴り、元太はのそりと体を起こした。
そんな元太にワザとチラリと目をやってから、サオを真似た。

「ヒミツ…ね」

「なんかや?」

そんなあたしたちを元太は不思議そうな顔で見る。

「な、なんでもないけん。なんでもない。なんでも」

サオは焦ったように、アハハと渇いた声で笑った。
あたしはまだ顔がにやけている気がしたけど、サオの言葉に頷いた。

「ゲーンタ、なした?」

「ショウ」

元太の友だちの翔くんが、ひょっこり元太の前に現れた。

「別に…どげもせんがね」

元太はあたしたちに訝しそうな顔を向けてから、何かを話す翔くんへと視線を移した。
あたしとサオは顔を見合わせてから、プッと吹き出して笑った。

「焦ったがー。ゲンタにバレるかと思った~」

そのあとの話題はもちろんサオの恋バナで、いつから好きだったとか、どこが好きだとかそんな話。
当然次の始業のチャイムまでに終わるはずがなくて、続きは次の業後まで持ち越された。
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