Dear My Friends
「ゲンタ~!」

遠くから翔くんが、大きく手を振っている。

「愛しちょーよ~!」

大声で翔くんはそう叫んだら、ふっと、また元太がクスクス笑った。



―――…言わなきゃ
別れの言葉を。



振り返って、あたしは元太と向き合った。ふたりの間には、白い息が立ちこめる。

「サキ」

先に口を開いたのは元太。
あたしは顔を上げる。

「サキ…俺」



いつも元太はあたしのこと、『お前』とか『なあ』って呼ぶ。

その理由は、知らない。



白い息と共に、あたしは口を開いた。

「ゲンタ? あたしあんたに言いたいことがある」

コクンと、唾を飲みこむ。



伝えたいことは、沢山あるよ。
伝えきれてないことが、沢山あるよ。



「…あんたは、いい男だった」

あたしは真っ直ぐ元太を見据えた。

あたしの目に映る元太。
いつもの元太。

…ただ違うのは、悲しそうな元太の瞳。



「でも、世界で2番目じゃろ?」

あたしは頷いた。

「お前には世界一のヒーローがおるけんな」

「でも」



…ねぇ、どうすれば伝えられるの?

もどかしいね。
もどかしいよ。
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