Dear My Friends
「でも…。あたしの中の1番は、ゲンタだったよ」

感覚のなくなりかけた手を、ギュッと握りしめる。
指先の冷たさが、痛い。

一瞬目を見開いて、そして、小さくはにかむ元太の姿。
あたしはその姿を忘れないようにと、目に焼き付ける。



『時間よ、このまま止まれ』

何度も何度も、そう繰り返した。

それでも、時は止まってはくれない。



「なあ、そぎゃん泣きそうな顔すんな」

あまりにも元太が悲しそうに言うから、あたしはもう一度手を握りしめた。

「約束…」

「え?」

「約束しよう、ゲンタ」

あたしは左の小指を突き出した。

「あたしは幸せになるの。ゲンタも」



何言ってるんだろ、あたし。
もう、会えないみたいに。



「それでまたいつか、偶然出会った時に『あぁ、幸せだね』って、自慢し合おうよ」



そう、もう会えない。

あたしたちは、アドレスも番号も知らない。
それに、あたしはあえて聞かない。

だから今日が、きっと最後。

もう会えない。
今日が最後だって、知ってるの。
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