Dear My Friends
…ねぇ。
きっと、あたし今、笑顔だと思う。

なのにどうして?

涙が止まらない。

ゴメンね。
泣いてゴメンね。

涙が止まらないよ?
止まらないの、涙。



涙が頬を濡らしていく。

元太の姿も歪んじゃうよ。



「サキ…」

元太の声が震えている。

「泣くなよ…」



気がつけば君に惹かれていた。

いくらでも思い出せるよ、君とのこと。
次から次へと、キリがないくらい。

思い返せば、こんなにも君が好き。



今…、今なら言える。



「…ばいばい、ゲンタ」

瞬きをしたら涙が落ちて、元太の顔が見えた。

だから、あたしはもう一度笑う。

元太も笑う。
優しい、あったかい、元太らしい笑顔で。

あたしの、大好きな元太の笑顔。



「さよなら」

また滲む涙をこらえて、別れの言葉を。



「うん。さよなら」

元太の目から零れたひと粒の涙。

それは、何の涙でしたか?



元太は背を向けて、ゆっくりと歩きだした。



行かないで。

ねぇ。
涙だけ残して、行かないで。
笑顔だけ残して、行かないでよ。
< 84 / 91 >

この作品をシェア

pagetop