Dear My Friends
冬の風が頬を冷やす。
元太が霞んで見えない。

小さくなるその姿が、まるで夢に思えた。



足は張り付いたように、ピクリともしない。

冷えた手を首筋に当てる。
首には冷たさ、手には温かさ。

それが夢ではないと、言い聞かせる。



行かないで。

言葉にならない思いは、虚しく頭に響いた。



ここに君は、もういないんだ…。



空っ風が吹き抜ける。

元太の見えなくなった後ろ姿を、いつまでも、見送ってた。



どれくらいソコにいたかなんて、分からない。

泣くことすら、もう忘れた。



あたしは元太が好き。
元太はあたしが好き。

知っていた。
君も知っていたでしょう?



「サキ!」

急に腕を引っ張られて、あたしは少しバランスを崩す。

「サオ…」

心配そうに眉を下げるサオが、ギュッとあたしを抱きしめた。

「サキ…。よー頑張った」

サオと翔くんが、元太がいなくなった後に戻ってきた。

抱き締めてくれるサオが、どんな顔をしているのかわからない。
だけど、翔くんの鼻が赤かったのは、きっと寒さのせいだと、言い聞かせた。
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