Dear My Friends
「サキちゃん。これ、ゲンタから」

翔くんが差し出した一枚の紙。
四つ折りにされた、ルーズリーフ。

「あいちゃ、俺よかチキンだけんなぁ」

翔くんは寂しそうに笑い、あたしが受け取ったのを見届けると、やんわりと微笑む。

「サオ…、サキちゃん頼むけん」

翔くんはそう言ってサオの頭を撫でて、どこかへ行ってしまった。



一度深く、眼を閉じる。

「サオ…もう大丈夫だよ」

サオからゆっくり離れた。

サオの顔を覗き込むと、あたしより泣きそうな顔をしている。

「もうおらんかね、ゲンタ…。ウソみたい」

サオは遠くを見てポツリと呟いた。



翔くんから受け取った元太からの手紙を、あたしはただ見つめていた。

「読みなよ」

「うん」



それをゆっくりと開く。

『咲へ』

その書き出しで始まる手紙。

たった数行、精一杯の、元太の言葉。



「…ばーか」

ふっ、と笑みがこぼれた。

大きく深呼吸をすると、冷たい空気が体中に染み渡る。

なぜかとても、スッキリした気分になった。
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