Dear My Friends
「さ、寒ーい!!」

サオは自分を抱えるように歩いていた。

「だから、ついてこなくてもいいって言ったのに」

「だって~」

冬の冷たい潮風が、サオの髪をなびかせる。

「やっぱ来らせんほーがえかったかも~」

サオが鼻を真っ赤にさせながら、ガチガチと震えている。

「こぎゃん寒いとこで何しよるんー?」

「んー? これ」

あたしは一枚の紙を取り出した。



それは、四つ折りのルーズリーフ。



「え? それゲンタからの手紙?」

「うん。そー」

そう。それは元太からの手紙。



あたしはその場に座り込み、それを紙飛行機にする。

「え? 何しちょーの、サキ」

サオはあたしの前に、服の裾を気にしながらしゃがみこんだ。

「見ての通り、紙飛行機作ってんの」

「まさか、あんたそれ…」

最後の折り目をしっかりとつけた。

「ほい! できた~」

完成した紙飛行機を手に、あたしは波打ち際まで歩み寄った。

聞こえるのは波の音。
吹き抜ける冷たい潮風。

寄せては返す波の音が、よけいに寒さを際立たせる。

海と空の境目。
そこは、果てしなく続く水平線。
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