Dear My Friends
『なあ、咲。空ってでかいなー』

『そうだね。どれくらいかな?』



幼い日のあの日、君は教えてくれたんだ。



「ちょっ! ちょっとサキー!」

あたしはおもむろに、それを水平線めがけて。

空に投げた。



「あぁ~! 何しちょるん!!」

飛行機は曲線を描きながら、すぐに見えなくなった。

「あーあ…。あんたバカじゃろ~? せっかくのゲンタからの手紙を…」

少し後ろからサオの、嘆きにも聞こえる声がする。

「だからだよ」

あたしが振り返ると、サオは立ち上がっていた。

「え?」

サオがキョトンとした顔で、突っ立っている。

「返事書いたの。ゲンタに」

「は? あれに?」

「うん。そう」

あたしは踵を返して来た道を戻り、サオの横を通り抜けた。

「なしてそぎゃんもったいねこと、するんかや?」

サクサクと、サオが砂を踏む音が近づいた。

「全然もったいなくないよ」

あたしは立ち止まり空を仰ぐ。

「あたしが覚えてればいーの。形じゃなくて、心にとっておくの」

「何それ? キザ?」

ふっ、とサオが笑った。
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