何度でもあなたをつかまえる
こうして、2人は何となく、親公認の……婚約者のような仲になったらしい。



3月……お彼岸のお墓参りを済ませてから、かほりは再びケルンへと飛び立った。


「なるべく早く帰国するわ。」

成田まで見送りに来た雅人に、かほりは何度もそう繰り返した。

「いや。せっかくのチャンスなんだし、がんばっておいでよ。……IDEAもさ、何となくイイ雰囲気なんだ。再デビュー、意外と近いかも。」

雅人の言葉は、かほりを送り出すためのリップサービスではなかった。

りう子から状況を聞いているかほりは、力強くうなずいた。

「うん。応援してる。……いつかアルバムを出す時に……私にも協力させてね。」

そうお願いしたら、雅人は頭をかいて苦笑した。

「……アルバムか……。はは……。想像つかないけど……。」

珍しく気弱なことを口にした雅人を、かほりは励ますように抱きしめた。

「すぐ、よ。信じてる。……どっちが先にデビューするか……競争しましょう。」


りう子との出逢いは、気づかないうちに、かほりを変えた。

いつの間にか、IDEAは必ず成功する……と、強く信じていた……。


かほりの心からの応援は、雅人に強く伝わった。

かつての微妙な空気とは明らかに違う。

今度こそ、本当に、自分を信じて待ってくれている……。


「……がんばってみるよ。石にかじりついてでも。」

これもまた、雅人らしくない言葉だった。



お互いの変化に勇気を得て……2人は、笑顔で別れた。



愛してる。

愛されている。

信じてる。

信じてもらっている。



それだけで、不可能なことはないような気がした。






第3章 了



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再び、2人は、遠距離恋愛へ……。

時は流れ流れて……
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