何度でもあなたをつかまえる
脳内をどろどろに溶かすような最上級の悦楽。

そのまま、2人は寝入った。

シングルベッドで1つになったまま……。




かほりが目を覚ました時、雅人はかほりの胸に顔を押しつけて眠っていた。

……かわいい……。

頭をなでたいけど、起こしてしまいそうなので我慢した。


そっと首を動かして時計を探す。

壁に掛けた時計は4時過ぎという時間を指し示していた。

ぼんやりする頭でかほりは、まだ夜明け前?よく眠った気がする……と、呑気に思っていた。

が、はたと気づいた。

違うんじゃない?

翌日の夕方の4時じゃない?


「大変!雅人!もう夕方みたいなの。起きて。」

かほりは、慌ててそう言った。


よく見ると、この部屋には窓がない。

室内灯を付けっぱなしにしたまま寝入ってしまったので、時間の感覚が全くわからない。


「ん……。キスしてくれなきゃ起きない。まぶたにキスして。」

雅人は甘えてかほりにそう言うと、眉間にしわが寄るほどにぎゅーっと目をつぶった。


……他の女性にも、こんな風に甘えるのかしら。

余計なことを考えながら、かほりは雅人のまぶたにそっと口付けた。


ニコーッと子供のようにほほ笑んで、雅人が目を覚ました。


やっぱりゐねに似てるわ。

好いたらしいこと。


「おはよ。二日酔い、どう?楽になった?」

雅人はそう言いながら起き上がると、かほりをするりと抱き寄せた。

「ん……たぶん、大丈夫。喉が痛くて、鼻がぐずぐずしてるかな?……ねえ、私……どうして、ココにいるのかしら。」


かほりの言葉に、雅人は苦笑した。

「ひどいな。覚えてないの?」

「……覚えてない……こともないんだけど……ココは雅人の……セカンドハウス?」

そう聞いた後、かほりはくしゃみを2つ続けてした。

「ごめん。それ、ハウスダストのアレルギーだよね。……掃除してないからなあ。セカンドもサードもないよ。家はココだけ。」

雅人はそう言って、ティッシュを2枚引き出して、かほりの鼻に宛がった。

「……う……ありがと。……掃除してないの……。……教授のチェンバロは?」

キョロキョロとかほりは部屋を見渡した。
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