何度でもあなたをつかまえる
クシュン!


子犬のような可愛らしいくしゃみが、雅人を眠りから覚醒させた。


光が……眩しい……。

カーテンを閉めずに眠ったのか……。


いや、それ以前に!

寒い!

そういや、電気が全部消えた部屋でそのまま寝てしまったんだっけ。

セントラルヒーティングで凍えるほどではないけれど、部屋のエアコンなし、しかも素っ裸に、薄いデュベと、かほりの温もりだけ……。


やばっ!

今のくしゃみは、かほりか!



慌てて雅人は半身を起こす。

よほど寒かったのだろう。

かほりは、雅人が無造作に被っていたデュベの中に頭まで入り込み、雅人にぴったりと身を寄せていた。


「かほり。風邪ひくよ。……ちょっと待って。毛布……。」

ベッドから降りようとする雅人の足を、かほりはぎゅっと掴んだ。

「やぁっ。行かないで。一緒に行くぅ。」

寝ぼけているのだろう。

子供のように素直に甘えて雅人を放そうとしないかほりが……たまらなくかわいく感じた。

「……大丈夫。一緒に帰ろう。東京に。」

雅人は、何も考えずに、軽い気持ちでそう言った。

パチッとかほりの目が開いた。

「……今、何時?」

かほりに問われて、雅人は時計を見た。

「10時20分。」

「え!大変!チェックアウト10時よ!過ぎてる!」

かほりが、慌てて半身を起こした。


白い肢体が眩しい……。

雅人は、かほりに背後から覆い被さるように抱きしめた。

「いいじゃん。延長で。……ダメならフロントから電話かかってくるよ。それより、さ。……ほら。」

かほりの手を取って、自分の股間に誘導する。

いわゆる「朝立ち」状態を誇示すると、かほりの頬が赤く染まった。


……可愛すぎるだろう。

まったく……どれだけ抱いても、初々しいというか……大胆なくせに、恥じらってるんだよな。

たまらないな……。


「もっと、かほりが、欲しい。」

雅人はかほりにそう囁いた。

かほりは、うつむいて……かすかにうなずいた。


……かつて、かほりが雅人の求めを拒んだことなんてない。

どんな興味本位の性戯でも、時には痛みを伴うアブノーマルな交わりでも……。

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