何度でもあなたをつかまえる
感情を押し殺して立ち尽くす雅人に、りう子は首を傾げた。
いつもの尾崎じゃない……。
何があった?
「尾崎?……大丈夫?」
りう子は、少しかがんで、雅人の顔を下から覗き込んだ。
雅人は、目を閉じたまま言った。
「……大丈夫じゃない。……身勝手なこと、言っていい?」
思わず、りう子は、プッと吹き出した。
「今さら?」
尾崎が身勝手なことなんか、前の事務所に居た頃から知ってる。
そんな男とわかっていて、マネージメントしてるし……入籍もした……。
全て、自己責任だ。
りう子は、冷蔵庫から缶ビールを取り出して、雅人に手渡した。
「どうぞ。飲めば、舌も舐めらかになるでしょ。」
「ありがと。」
雅人は小さくお礼を言って、プルリングを引いて開栓すると、りう子の持っている缶と交換した。
……こういうことを、嫌味なく、自然にやっちゃう男なのよね……。
「ありがと。」
りう子もまたお礼を言ってから、雅人の開けてくれた缶ビールに口をつけた。
少し遅れて、雅人も缶ビールを開けて煽る。
のど仏が上下に大きく動くのをぼんやり見つめながら、りう子が言った。
「……顔だけじゃなく、手も、のど仏も、鎖骨も……カッコイイよね……尾崎って……。」
雅人は、怪訝そうにりう子を見た。
「急に、何?」
それこそ、今さら過ぎるだろう。
りう子の眉根がぎゅっと寄る。
泣く……?
雅人の心配をよそに、りう子は不満そうに言った。
「いいじゃない。言わせてよ。一応、夫なんでしょ。……一応……。」
りう子のテンションが目に見えてダウンする。
雅人は、再びビールを煽って、りう子の涙から目を逸らした。
りう子は、自分の手の甲でゴシゴシと涙を拭って、顔を上げた。
そして、真っ赤な目で雅人を見つめて、キッパリと言った。
「ごめん。男として愛してない。尾崎の才能を愛してるし、公私ともに尾崎の優しさに救われてきた。でも、尾崎と結婚したくない。」
「……したくないって……しちゃってるんだけど……。」
そうツッコむ雅人の心に、なんとも言えない想いが席巻した。
離婚してほしい雅人にとって、渡りに船のはず……なのだが……やっぱり、おもしろくないというか……。
いつもの尾崎じゃない……。
何があった?
「尾崎?……大丈夫?」
りう子は、少しかがんで、雅人の顔を下から覗き込んだ。
雅人は、目を閉じたまま言った。
「……大丈夫じゃない。……身勝手なこと、言っていい?」
思わず、りう子は、プッと吹き出した。
「今さら?」
尾崎が身勝手なことなんか、前の事務所に居た頃から知ってる。
そんな男とわかっていて、マネージメントしてるし……入籍もした……。
全て、自己責任だ。
りう子は、冷蔵庫から缶ビールを取り出して、雅人に手渡した。
「どうぞ。飲めば、舌も舐めらかになるでしょ。」
「ありがと。」
雅人は小さくお礼を言って、プルリングを引いて開栓すると、りう子の持っている缶と交換した。
……こういうことを、嫌味なく、自然にやっちゃう男なのよね……。
「ありがと。」
りう子もまたお礼を言ってから、雅人の開けてくれた缶ビールに口をつけた。
少し遅れて、雅人も缶ビールを開けて煽る。
のど仏が上下に大きく動くのをぼんやり見つめながら、りう子が言った。
「……顔だけじゃなく、手も、のど仏も、鎖骨も……カッコイイよね……尾崎って……。」
雅人は、怪訝そうにりう子を見た。
「急に、何?」
それこそ、今さら過ぎるだろう。
りう子の眉根がぎゅっと寄る。
泣く……?
雅人の心配をよそに、りう子は不満そうに言った。
「いいじゃない。言わせてよ。一応、夫なんでしょ。……一応……。」
りう子のテンションが目に見えてダウンする。
雅人は、再びビールを煽って、りう子の涙から目を逸らした。
りう子は、自分の手の甲でゴシゴシと涙を拭って、顔を上げた。
そして、真っ赤な目で雅人を見つめて、キッパリと言った。
「ごめん。男として愛してない。尾崎の才能を愛してるし、公私ともに尾崎の優しさに救われてきた。でも、尾崎と結婚したくない。」
「……したくないって……しちゃってるんだけど……。」
そうツッコむ雅人の心に、なんとも言えない想いが席巻した。
離婚してほしい雅人にとって、渡りに船のはず……なのだが……やっぱり、おもしろくないというか……。