何度でもあなたをつかまえる
かほりは、ほぼ無意識に、先ほどたたんだ紙袋の中から白い大きめの封筒を取りだした。
「あの……それでしたら、これ……」
りう子は、かほりから手渡された用紙を見て、笑ってしまった。
「ちょ!離婚届もらってきてくれたん?信じられへん!そこまでする!?」
ゲラゲラと必要以上に笑い声をあげるりう子に、かほりは身をすくめた。
「……申し訳ありません。滝沢さまの状況とお気持ちを存じ上げておりませんでしたので……思いつく限りの準備をして参りました……。」
そこまで言ってから、ハッとしたように、かほりは背筋を伸ばした。
「それでですね!滝沢さまのお腹のお子さまのことですが……あの……ご気分を害されましたら、ごめんなさい!でも、1つの可能性として、ご検討ください。……私どもに、引き取らせていただくというのは……いかがでしょうか?もちろん大切にお育てさせていただきます!」
「……はあ?」
呆気にとられるりう子に、かほりはたたみかけるように言葉を継いだ。
「いえ、あの!先ほど、滝沢さまが不安だと仰ってらっしゃったので、僭越ながら申し上げさせていただきました!もし、滝沢さまがご自分でお育てされたいと言うことでしたら、私どもに出来うる限りのご協力をさせていただきたいと思っています。社会的にも経済的にも、不自由なくお子さまが育つように……。……滝沢さま?」
途中から、くすくすと笑い出したりう子に、かほりの勢いが削がれた。
さきほどのヒステリックな笑いとは違う……少し自嘲的な淋しそうな笑いだった。
しばらく、独りで笑って……ようやく落ち着くと、りう子はかほりの肩をポンポンと叩いた。
「滝沢さま、は、よして。柄じゃないわ。りう子でいいわよ。……私、何か、かおりちゃんのこと、気に入ってしもたわ。ね、尾崎と私のことはなかったことにして?熨斗(のし)つけて、かおりちゃんに返してあげるし、これからのあなた達を応援するわ。……あ、でも、尾崎は売り出し前の大切な時だから、恋愛も結婚も隠し通してね。それだけは、お願いします。」
すっかりマネージャーの顔でそう言ったりう子に、かほりは目を丸くした。
「あの……それでしたら、これ……」
りう子は、かほりから手渡された用紙を見て、笑ってしまった。
「ちょ!離婚届もらってきてくれたん?信じられへん!そこまでする!?」
ゲラゲラと必要以上に笑い声をあげるりう子に、かほりは身をすくめた。
「……申し訳ありません。滝沢さまの状況とお気持ちを存じ上げておりませんでしたので……思いつく限りの準備をして参りました……。」
そこまで言ってから、ハッとしたように、かほりは背筋を伸ばした。
「それでですね!滝沢さまのお腹のお子さまのことですが……あの……ご気分を害されましたら、ごめんなさい!でも、1つの可能性として、ご検討ください。……私どもに、引き取らせていただくというのは……いかがでしょうか?もちろん大切にお育てさせていただきます!」
「……はあ?」
呆気にとられるりう子に、かほりはたたみかけるように言葉を継いだ。
「いえ、あの!先ほど、滝沢さまが不安だと仰ってらっしゃったので、僭越ながら申し上げさせていただきました!もし、滝沢さまがご自分でお育てされたいと言うことでしたら、私どもに出来うる限りのご協力をさせていただきたいと思っています。社会的にも経済的にも、不自由なくお子さまが育つように……。……滝沢さま?」
途中から、くすくすと笑い出したりう子に、かほりの勢いが削がれた。
さきほどのヒステリックな笑いとは違う……少し自嘲的な淋しそうな笑いだった。
しばらく、独りで笑って……ようやく落ち着くと、りう子はかほりの肩をポンポンと叩いた。
「滝沢さま、は、よして。柄じゃないわ。りう子でいいわよ。……私、何か、かおりちゃんのこと、気に入ってしもたわ。ね、尾崎と私のことはなかったことにして?熨斗(のし)つけて、かおりちゃんに返してあげるし、これからのあなた達を応援するわ。……あ、でも、尾崎は売り出し前の大切な時だから、恋愛も結婚も隠し通してね。それだけは、お願いします。」
すっかりマネージャーの顔でそう言ったりう子に、かほりは目を丸くした。