何度でもあなたをつかまえる
「すみませんでした……ありがとうございます……。」
りう子は、ふたたび、かほりの背中をそっと撫でた。
たぶん、しっかりしたお嬢さまなんだろうけど……恋は別なのかな。
ちりちりと焼け付くように熱い気持ちをかほりから感じる。
この子、一生、尾崎の尻拭いをする覚悟をしてるんだ……。
すごいなあ。
そりゃ、あの尾崎が、執着するわけだ。
尾崎にとって、本当の家族より家族なんじゃない?
だからと言って、尾崎が今後浮気しない……って、保証が全くないけどね。
いばらの道だなあ……。
まあ、がんばれ。
応援するよ、かおりちゃん。
アップルパイ8分の1と、ビール2缶を飲んで辞去したかほりは、赤い顔のまま雅人の部屋を訪ねた。
「飲んでる?目が据わってるよ?」
迎え出た雅人は、からかうようにそう言った。
「うん。飲んでる。はい、これ、お土産~。りう子さんイイ人ね。お友達になったの。」
かほりはそう言って、雅人の首に両腕を回してしがみついた。
……はは……やっぱり、滝沢さんと膝詰談判してきたのか……。
まあ、そうなるよな。
「お土産って……。」
かほりを抱きながら、受取った封筒を開ける。
予想通り、署名捺印済の離婚届だ。
……ん?
もう1枚ある……。
げ。
婚姻届だ。
しかも保証人欄にりう子の署名捺印があるのを見て、雅人は天を仰いだ。
「……かほり……すごいね。」
敵わないな……。
雅人の感歎に、かほりは何も答えなかった。
本当は……詰(なじ)りたかった。
どうして、りう子さんから、雅人の匂いがするの?
どうして、りう子さんのベッドのヘッドボードの上に、あの鍵があったの?
もちろんかほりにはそれ以上追及するつもりはない。
どれだけ全身全霊を捧げて愛し合っても、そばにいる時以外は、かほりのモノでいてくれない。
わかってる。
でも、好きなの。
ずっとずっと、大好きなの。
……だから……。
「両方に、記入してくれる?」
かほりは雅人を見つめてそう言った。
雅人は、かほりの瞳の中に……ちろちろと黒い焰をハッキリ見て取った。
怒ってる……。
顔にも口にも出さないけれど、かほりは怒っている……。
りう子は、ふたたび、かほりの背中をそっと撫でた。
たぶん、しっかりしたお嬢さまなんだろうけど……恋は別なのかな。
ちりちりと焼け付くように熱い気持ちをかほりから感じる。
この子、一生、尾崎の尻拭いをする覚悟をしてるんだ……。
すごいなあ。
そりゃ、あの尾崎が、執着するわけだ。
尾崎にとって、本当の家族より家族なんじゃない?
だからと言って、尾崎が今後浮気しない……って、保証が全くないけどね。
いばらの道だなあ……。
まあ、がんばれ。
応援するよ、かおりちゃん。
アップルパイ8分の1と、ビール2缶を飲んで辞去したかほりは、赤い顔のまま雅人の部屋を訪ねた。
「飲んでる?目が据わってるよ?」
迎え出た雅人は、からかうようにそう言った。
「うん。飲んでる。はい、これ、お土産~。りう子さんイイ人ね。お友達になったの。」
かほりはそう言って、雅人の首に両腕を回してしがみついた。
……はは……やっぱり、滝沢さんと膝詰談判してきたのか……。
まあ、そうなるよな。
「お土産って……。」
かほりを抱きながら、受取った封筒を開ける。
予想通り、署名捺印済の離婚届だ。
……ん?
もう1枚ある……。
げ。
婚姻届だ。
しかも保証人欄にりう子の署名捺印があるのを見て、雅人は天を仰いだ。
「……かほり……すごいね。」
敵わないな……。
雅人の感歎に、かほりは何も答えなかった。
本当は……詰(なじ)りたかった。
どうして、りう子さんから、雅人の匂いがするの?
どうして、りう子さんのベッドのヘッドボードの上に、あの鍵があったの?
もちろんかほりにはそれ以上追及するつもりはない。
どれだけ全身全霊を捧げて愛し合っても、そばにいる時以外は、かほりのモノでいてくれない。
わかってる。
でも、好きなの。
ずっとずっと、大好きなの。
……だから……。
「両方に、記入してくれる?」
かほりは雅人を見つめてそう言った。
雅人は、かほりの瞳の中に……ちろちろと黒い焰をハッキリ見て取った。
怒ってる……。
顔にも口にも出さないけれど、かほりは怒っている……。