鏡の中のワタシ
そして夜、いつものように隼人が家にやってきた。
部屋に入るなり直ぐにキスをしてきて、もう一人のワタシは私の体から出て行った。
「加奈子、麻友とさっき別れた。だから俺と付き合って?」
「本当に?本当に別れたの?」
「あぁ……それに俺はもう麻友に気持がなくなった。考えるのは加奈子の事だけで、加奈子が好きだ」
「嬉しい……ねぇ隼人、今すぐ抱いて」
そう言うと隼人はベッドに押し倒して私にキスをした。
やっと隼人と気持が通じて幸せだった。
何度も、何度も、キスをして、隼人の愛撫に甘い吐息が口から漏れる。
「ああっ、隼人っ……あっ」
もう幸せだった。
もう少しでお互いが絶頂に達するというときに、もう一人のワタシの声が聞こえた。
『最後に幸せいっぱい感じるといいね?』
そう言ってクスクスと笑っている声が聞こえたが、直ぐに現実に引き戻り二人で果てた。
暫く隼人と一緒に居たが、明日も学校だから隼人は家に帰った。
私は隼人を見送ると、シャワーを浴びて着替えると部屋に戻り、鏡の前に座った。