鏡の中のワタシ
「あなたのお陰で隼人を手に入れる事ができた。もうあなたの力を借りなくても大丈夫。今までありがとう」
私は感謝の気持を込めて、鏡の中のもう一人のワタシは突然大声で笑い出した。
「アハハハハッ、何言ってるの?私はあなたが作り出した悪霊。良い人みたいな言い方してあなた馬鹿?」
「えっ?」
すると急に鏡の中のもう一人のワタシは凄い目つきで私を見てきて、私は固まったまま体を動かす事も出来ず、目を離すことが出来なかった。
すると急に体がガタガタと震えだし、また私の体の中にもう一人のワタシが入ってくるんだと思った瞬間だった。
ただいつもと違う感じに私は気づき、気がつくと私は鏡の中に居た。
えっ、何で私が鏡の中に……。
「アハハハハッ、あなたの願いを叶えたし、隼人に抱かれて付き合うことも出来た。だからその代わりに私があなたの体を貰うわ」
「どうしてっ、何を言ってるの?元に戻してよ」
「あなたは一生その鏡の中で生きていくのよ。私は悪霊だけどあなたの体を手に入れた。鏡の中の生活は退屈だもの。安心して、ちゃんと上手くやっていくから。あなたの声は私にしか聞こえないしいくら叫んでも無駄だから?」
そう言うともう一人のワタシは鏡に布を掛けた。
真っ暗で何も見えない。
どうしてこんな事になってしまったの?
悪霊を生みだしたのは私。
その悪霊に協力してもらったのも私。
こんなつもりじゃなかった。
こんなつもりじゃ……
「イヤァァァァー」
どんなに叫んでも私は鏡から出ることは出来ない。
ずっと永遠に……
【完】