鏡の中のワタシ
「隼人の事がずっと好きなの。小さい時からずっと……」
「……」
隼人は黙ったまま私を見つめたままだ。
「私、隼人をどんどん好きになる度に、上手く話せなくて、同じ高校を受験したのも隼人と同じ高校に行きたかったからなの。そして入学して一ヶ月が経って、隼人に自分の気持ちを伝えようとした。だけどその次の日、隼人と麻友が付き合う事になったと聞かされてショックだった。ずっと言えなくて苦しかったの、ねぇ隼人……私を抱いて?隼人との恋が叶わないならせめて私の初めては隼人がいいの」
「加奈子……」
するともう一人の私は服を全部脱ぎ出した。
私なら恥ずかしくて絶対に出来ないだろう。
全部脱いで裸になった私の体は隼人に近づいて歩く。
「おい、加奈子……落ち着こう」
隼人の言葉を無視して私の体は隼人の足の上に跨るように座り、隼人の首に自分の腕を絡めてキスをした。
初めてのキス。
隼人の唇が私の唇に触れていると思うだけで胸がドキドキしてしまう。
そしてもう一人のワタシは隼人の腕を掴むと、私の胸に持っていく。
そんな大胆な事なんて出来ないし、隼人もその行動に驚きを隠せないような目で見つめる。
「ねぇ隼人、麻友と私の体、どっちがいい?好きなのっ、隼人に抱かれたい」
すると隼人は私の体をベッドに押し倒して荒いキスをして、胸を強引に揉んだ。
少し興奮しているようにも見える。
するともう一人のワタシが私に言った。
『隼人も高校一年生の男だし、体に触れてしまうと我慢できなくなったみたいね?良かったじゃないこれであなたは隼人に抱かれる事ができる。私は一度あなたの体から抜けるから、隼人の初めてを楽しんでね?』
そう言ってクスクスと笑って私の中からもう一人のワタシは消えた。
初めて感じる感覚に、私の口からは甘い吐息が漏れる。
そして隼人と繫がった瞬間、感じたことのない痛みが体を襲った。
だがその痛みすら嬉しくて、隼人を体で感じる事が出来て幸せだった。