鏡の中のワタシ
今までは麻友と移動授業も一緒に行っていたし、お昼も食べていたが、今日は麻友を避けるように違う友達と行動を一緒にした。
周りにいた友達に、麻友と喧嘩したの?と聞かれた時に、もう一人のワタシはこんな事を言った。
『私ね、ずっと我慢していた。隼人とは幼馴染で小さい頃から好きだったの。やっと告白しようと思ってたのに麻友は隼人を奪った。私の気持を知っていたのに酷いでしょ?だけど隼人は麻友を選んだんだって思うようにしたけど、もう一緒に居るのが我慢出来なくなって』
そう言って涙を流した。
悪霊ってこんな事まで出来るんだと思った。
そんな私の姿を見て、周りに居た子はそれを信じて『何それ!麻友がそんな子なんて知らなかった。私達と一緒にこれからは居ていいからね?』と優しく言ってくれた。
そして学校が終わり、麻友が隼人の席に来る前に、隣の席の隼人に言った。
「隼人、今日は買い物に付き合ってくれない?」
「今から?」
「うん、ねぇ一緒に行こうよ」
そう言って隼人にお願いした。
するとそこに麻友がやってきて、隼人に一緒に帰ろうと言った。
「隼人も加奈子もどうしたの?」
「麻友、今日は加奈子の買い物に付き合うから一緒には帰れないけどいい?」
「買い物なら私も一緒に着いて行くよ」
そう麻友が言うと、もう一人のワタシは麻友を見て言った。
「でも……」
そう言いながら泣きそうな目で近くに居た友達を見た。
すると横から友達がやってきて麻友に言った。
「頼る人が隼人くんしかいないんだし、今まで加奈子だって頼りたくても麻友に遠慮して言えなかったみたいだしさ。買い物にまでついていくとか加奈子は遠慮してやっぱりいいやってなるでしょ?友達だったらそれくらいわかってあげなよ?加奈子の両親は今はアメリカなんだし知ってるてしょ?」
「私はそんなつもりじゃ……」
「いいよ奈々(なな)、私の我儘だし……」
「だけど加奈子が……」
すると麻友は小さな声で隼人に言った。
「今日は一人で帰るから加奈子の買い物に付き合ってあげて?加奈子もごめんね、気を使わせたみたいで。じゃあまたね」
そう言って麻友は帰って行った。
黙った隼人は何も言えずに立っているだけだった。
奈々もじゃあねと言って帰って行き、もう一人のワタシは隼人に言った。