星天リフレクション
ほどなくして準備は完了。屋上では既に皆が好きな場所に腰を下ろして花火が上がるのを待っている。貴一もレジャーマットに座って、隣の男子と笑顔で話している。
「あれ? 渚は?」
貴一のところへ歩き出そうとして呼び止められた。
振り向くと水泳部部長の俊也(しゅんや)君が、空になったアイスペールを持っている。さっき満タンに入れたはずの氷を使い切ってしまったらしい。
「渚ちゃんはキッチンに居たよ、もうすぐ上がってくると思うけど氷もらってこようか?」
俊也君からアイスペールを受け取ってキッチンへと向かう。空っぽのアイスペールを見た途端、渚ちゃんは大きく肩を落とした。
「もう氷残ってないの、できるまですこし時間かかるかも……」
「ごめんなさいね、いっぱい作っておいたんだけど余分に買っておけばよかったね」
渚ちゃんのお母さんが申し訳なさそうに顔を曇らせる。
日は暮れたとはいえまだ夜は暑い。しかもこれだけの人数が集まったら、多めに氷を用意しておいても足りなくなるのは当然。
渚ちゃんの両親はこれから出かける予定だから氷を買いに行けないという。