星天リフレクション

「和田さんは志望校決めた？」

「まだ決めてないけど近くがいいなあ……と思ってる、俊也君は？」

「俺もまだ悩み中、いくつか候補は挙がってるけど絞れないんだ」


学校も塾の先生も『できるだけ早く目標設定をしなさい』と言うけれど、簡単に決められるものじゃない。とりあえずは家から通えるところがいいと、今はただ漠然と考えているだけ。
それに……


「貴一とは幼馴染みなんだろ？　どうなの？」


貴一のことを考えていたところに、ふいに名前を言われたから驚いた。体が不自然に強張ってしまったけれど顔に出てしまわなかっただろうか。


「どう……って？　知らない、貴一の志望校は聞いたことないから」

「そういう会話しないの？」

「うん、してない」


正直なところ貴一の志望校は知らない。学校や塾の授業のことや成績の話をすることはあっても志望校の話をしたことがない。
毎日すごく近くにいるはずなのに。


貴一はどこの大学を志望しているんだろう。
今はまだ聞く勇気も、言い出せる勇気もない。