星天リフレクション
「そうなの? 貴一とどんな話してるの?」
「どんな話だろう……、部活のことも話してくれてたよ、俊也君のこともね」
「え、俺のこと? 変なこと聞いたんじゃない?」
「変なことじゃないって、貴一は俊也君には追いつけないって、いつもボヤいて悔しがってたよ」
「貴一が?」
俊也君がくすっと笑った。ゆったりとした口調と温厚な笑顔は貴一から聞いた通り。
俊也君と貴一が一緒に泳いでいるのを見たことがないけれど、私から見たらふたりとも同じぐらい上手いと思う。
だけど貴一は俊也君の方が勝っているのだと言ってた。俊也君の方が体格大きくてがっしりしていて、泳ぐ力強さと速さは敵わないと。
俊也君が広い通りから逸れて住宅地へと続く道へと入っていく。
広い通りから街灯の数が減って車の往来はぱったりと途切れた。歩いている人はちらほら居るけれど、こんな住宅地の中にコンビニなんて本当にあるのだろうかという感じ。
「俊也君? こっちで合ってる?」
問いかけたけれど俊也君は答えない。
代わりに聴こえてきたのは体の芯に響く花火の音だった。